(財)日本鯨類研究所  鯨研通信500号より

北前船の寄港地と日本100名城巡りから始まった

瀬戸内坂越から北前船がもたらしたもの第15回(札幌)

瀬戸内坂越の北前船交流記

第19回までは「瀬戸内坂越から北前船がもたらしたもの全国版」を再構成したものです。

 第15回(札幌)

        2016年12月23日

 

  坂越の北前船に関わるようになって、北前船は過去のものになったが、今も人と人をつなげる何か魅力がある事を感じるようになった。

 今回投稿して頂いた松尾さんが、札幌から坂越に来られたのは2016年10月ボランティアガイドとして、坂越の廻船を案内していた。

 この日、松尾さんからブログ「林住庵おち漫遊記」は、五木寛之著の「林住期」から触発された話に感銘した。

  そんな事があって11月江差で再会した時はとても驚いた。 

 再び「林住期」の話になりましたが、この時、北前船はこれから観光資源になって行くと実感した。 

 久ぶりに松尾さんのブログを見ると第240号で「北前船、赤穂から江差まで」が掲載されていたので投稿をお願いしました。(矢竹考司)                     

  北前船江差から坂越まで                      

10月に句会があって 訪れた赤穂市で四十七義士像が並ぶ大石神社に参詣してきました。 当地で有名なのは「討ち入り」なので外せません。

  神社のあるJR播州赤穂から一駅姫路寄りの市内・坂越(さこし)という港町の面影を残したまち並みの地区に寄りました。 

 地酒「忠臣蔵」の蔵元・奥藤家は 討ち入りのあった元禄時代から100年程も前から 廻船業も営んでいた大店であり 「奥藤酒造郷土館」には北前船の模型をはじめ往時の歴史資料が展示されています。

 

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 隣接する観光案内所「坂越まち並み会館」に入って思いがけず北海道との繋がりを感じる出会いがありました。 

 当日、館に詰めていた北前船文化の 調査をしているという矢竹さんと話をするうちに11月に北海道で「北前船寄港地フォーラム」があることが判明、がぜん興味が湧いてきました。フォーラムの開催要領をいただき 会合には坂越からも参加する旨聞き 帰宅後参加手続きを行いました。

 当地では観光面で仇打ちばかりでない観光資源として「北前船寄港地」をキーワードにまち興しに取り組んでいます。

  函館には5年住んだ関係から、北前船が江戸時代以降近世まで日本の物流を支えた大動脈だったことや江差追分等の郷土芸能・文化が北前船で運ばれたことを身近に知っていただけに北前船に寄せる思いは格別です。  

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11月11日のフォーラムは 会場の江差町文化会館に全国13寄港地がある県から600名を集め 盛会裏に開催。  江差追分始め郷土芸能披露のあと 新幹線開業後の道南函館観光を軸にパネル討論が行われました。

 会場入り口には坂越のPRブースも設置されていて1ヶ月ぶりに北海道で矢竹さんと再会するという不思議な縁がありました。 フォーラム終了後のレセプションでは寄港地フォーラム第1回開催地の酒田市の市議さんと同席となりフォーラムが始まった経緯を聴くことができました。 

 東京一極集中でなく特徴のある地域文化を発信していく狙いで北前船を横糸としてつなげた地域連携型フォーラムが出発点でかつての日本海側こそ表日本だと主張してきているとのこと。 北前船が日本遺産に登録されて現代に甦ることを期待してやみません。(松尾誠之)