古式捕鯨と塩釜第7回(塩釜から見える鯨料理⑥)
ここでは鯨を美味しく調理するための準備や保存についての話である。
使われた塩は不明だが、高貴な人や饗応料理には真塩が使われたと考えられる。
出典(財) 日本鯨類研究所発行の日本鯨紀行(東日本編)
慶安2年(1649)に再刊された『料理物語』に は 、水に同量の塩を加えて沸騰させた後冷まし、その中に鯨肉を3日間つけて水気を切り、藁などに包んでおくと保存がきく。そのまま桶につけておいてもよいが、粕漬けにして塩を加えて壺にいれて保存するのがさらに良い方法の記述がみられる。
江戸年間の料理本50冊をまとめた全11巻の『江戸時代料理本集成』第1巻の「合類日用料理抄」元禄2年(1689)には、生鯨、塩鯨、焼鯨の利用法が述べられている。
出典(財) 日本鯨類研究所発行の日本鯨紀行(東日本編)
使用部位は、身鯨を手の平の大きさ程に切る。皮鯨は12~15センチ四方位の大きさかそれより細く切り、塩をたっぷり使って鮨の塩切のように漬ける。身鯨と皮鯨は別の桶に漬ける。塩水が上がってきたら押しを軽くしてもよし、そのままでもよい。
取り出す時は竹箸で取り出す。手を入れると鯨の色が変わってしまう。塩水が少なくなれば、足しておくことしている。鯨の塩漬」は、寒の内に、新鮮な良質な鯨肉を漬ける身鯨の補足の仕方の説明がある。『鯨料理の文化史』。
古式捕鯨時代、鯨は特別な存在で「鯨の墓」を建て各地で供養していた。また鯨に見立てた菓子が食されていた。青森県鯵ヶ沢の鯨餅も見立菓子のその一つで、北前船により京から伝えられたものだ。
出典(財) 日本鯨類研究所発行の日本鯨紀行(東日本編)