古式捕鯨と塩釜(塩釜から見える鯨料理)

神社・日本100名城巡りから始まったストーリー

2024-01-01から1年間の記事一覧

第14回 古式捕鯨と塩釜の終焉

第14回古式捕鯨と塩釜の終焉(最終回) 明治11年、子連れのセミクジラを追いかけていた和歌山太地鯨方の船団は強風に見舞われ111人が亡くなった。この悲惨な事件を契機に江戸初期から続いていた太地の古式捕鯨は衰退していく。この悲劇を描いたのが和歌山出…

古式捕鯨と塩釜第13回 (長門の捕鯨と塩田2)

古式捕鯨と塩釜第13回 (長門の捕鯨と塩田2) 入り浜式で塩田が出来なかった長門(現長門市)の塩の入津について、長門市史歴史編にある塩入津高(1844年)と 坂越の廻船問屋奥藤家の下筋御客帳(1833年)と大西家の「船賃銀定法」(1730年代)から探った。 …

古式捕鯨と塩釜第12回 (長門の捕鯨と塩1)

古式捕鯨と塩釜第12回 (長門の捕鯨と塩田1) 編集 古式捕鯨と塩釜第12回 (長門の捕鯨と塩1) 長門は、9回で紹介した平戸藩と並び長州藩の捕鯨基地として栄え、江戸初期から明治後期まで捕鯨を行う大規模な組織があった。 日本鯨類研究所『日本鯨紀行』(西…

古式捕鯨と塩釜第11回 赤穂藩の塩釜2

古式捕鯨と塩釜第11回 赤穂藩の塩釜2 能登で 最初に赤穂の口径が広い浅釜を藩に使用を願いを出したのは道下村(現輪島市)の鋳物師丹次で寛政8年(1796)だった 。翌年にはこの浅釜の使用願いがあいついだ。 その後。赤穂鋳物師福嶋栄左衛門が、天保5年(183…

古式捕鯨と塩釜第10回 (赤穂藩の塩釜1)

古式捕鯨と塩釜第10回 鉄釜と石釜で塩づくりをしていた赤穂藩 北前船で賑わった新潟港は、長岡藩領だったが薩摩藩の密貿易を取り締まりをしなかった事から、幕府直轄地になってしまう。港の権益で豊かだった長岡藩はたちまち財源難に陥いる。 出典(財) 日本…

古式捕鯨と塩釜第9回(平戸藩の財源(捕鯨と塩田))

平戸藩の財源(捕鯨と塩田)から平戸の塩田 東シナ海の五島藩、平戸藩では藩に点在した島々の島民は、産物の魚と塩で生計をたてていた。 出典(財) 日本鯨類研究所発行の日本鯨紀行(西日本編) これについて宣教師ルイス・フロイス(1532-1597)の『日本史』…

古式捕鯨と塩釜第8回(平戸藩の財源・捕鯨と塩田)

古式捕鯨と塩釜第8回(塩釜から見える鯨料理⑦) 平戸藩の財源(捕鯨と塩田)から平戸の捕料理 平戸藩の生月島の益冨家が天保年間に出版した鯨の料理本から紹介する。 平戸藩は幕府の鎖国政策で平戸オランダ商館は壊され、1641年貿易の拠点が出島に移された。…

古式捕鯨と塩釜第7回(鯨の塩蔵とその料理)

古式捕鯨と塩釜第7回(塩釜から見える鯨料理⑥) ここでは鯨を美味しく調理するための準備や保存についての話である。 使われた塩は不明だが、高貴な人や饗応料理には真塩が使われたと考えられる。 出典(財) 日本鯨類研究所発行の日本鯨紀行(東日本編) 慶安…

古式捕鯨と塩釜第6回(真塩と差塩)

古式捕鯨と塩釜第6回(塩釜から見える鯨料理⑤) 17世紀播州竜野で開発された淡口醬油は、苦汁が少なく塩分濃度が高い真塩で造られていた。この淡口とは見た目のことで、鉄釜で煮詰めると塩分濃度が高い真塩が出来た。 醬油づくり 出典『江戸料理事典』 蝦夷…

古式捕鯨と塩釜第5回(朝鮮通信使の饗応料理)

古式捕鯨と塩釜第4回(塩釜から見える鯨料理③) 今回は朝鮮通信使の饗応料理に鉄釜で作られた真塩がつかわた話である。 出典 日本鯨類研究所から出版された日本鯨紀行(西日本編) 朝鮮通信使が対馬から江戸へ向かう各地で、七五三膳の饗応献立で通信使それ…

古式捕鯨と塩釜第4回(古式捕鯨と流通網)

古式捕鯨と塩釜第4回(塩釜から見える鯨料理③) たたらの産地だった内陸の会津は、中世の時代から海水を鉄釜で煮詰め真塩を造っていた。この真塩は、将軍家にも献上し明治に入ると天皇家に献上していた。この真塩が会津の鯨料理のどの場面で使われたかは今後…

古式捕鯨と塩釜第3回(鉄釜から出来る真塩)

古式捕鯨と塩釜第3回(塩釜から見える鯨料理②) 鯨は、縄文時代の遺跡から鯨の骨が出土しており、日本人は古くから鯨を食していた。仏教が日本に伝来すると牛等の動物の肉食がたびたび禁じられたが、鯨は魚とみなされ、長く食され鯨に関する文献は奈良時代…

古式捕鯨と塩釜(第2回塩の専売制実施)

●塩釜から見える鯨料理① 古式捕鯨が終わる明治後期まで、塩の塩分濃度が塩の品質の物差しになっていた。塩分濃度が高く苦汁が少ないのが真塩で、苦汁を多く含み塩分濃度が低いのが差塩とよばれ、それはかん水を煮詰める塩釜でその差ができていた。 提供 (財)…

古式捕鯨と塩釜第1回(はじめに)

古式捕鯨と塩釜第1回(はじめに) これは、2024年2月 日本鯨類所から出版された鯨研通信500号に写真や解説を加えたものである。 編集 瀬戸内坂越から 矢竹 考司●はじめに 古式捕鯨時代、鯨の塩蔵や料理に使われた塩に興味をもったのは以下の経緯か…